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地震や火災等の災害用備蓄品や非常持ち出し品の準備に

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被災体験記 Disaster experience record

避難所で感じた私のひがみ根性

川畑 幸子

私が体験した大きな災害は東日本大震災です。
原子力発電所の事故による放射能の影響は受けずに済む地域だったことが不幸中の幸いでしたが、それでも実際に被災したことで従来とは考え方が大きく変わりました。そのなかには人間に関することや人生に関することなどもありましたが、直近の課題として防災グッズや備蓄品の必要性を強く感じたのです。

私が住んでいた地域は津波の被害が非常に大きく、私たち一家も地域の避難所に避難することを余儀なくされました。頻繁に起こる余震や自分のパーソナルスペースが無いということにも大きなストレスを感じましたが、それ以上に生活するための物資が足りないということが最大の問題でした。私は個人で災害用備蓄品を全く用意していなかったため避難所暮らしによる生活の不便さをまともに実感することになってしまったのです。

一番困惑し不便に感じたのがトイレです。人は生きていく上でどうしてもトイレに行かなければなりませんが、当初避難所に設置されていた簡易トイレは水が流れず常に臭いが残っている状態でした。幸い男女別になっていたのでその点だけは助かりましたが、それでもトイレに行きたくなるたびに憂鬱な気分になったものです。

次に困ったのはやはり食べ物や飲み物です。避難所に届けられた支援物資のなかから一人あたりの分量を割り当てられるだけなので常におなかがすいていると同時に喉の渇きもありました。「トイレに行かなくても済む」とポジティブに考えるようにはしていましたが、災害用備蓄品を個人で用意していた人にも同量の支援物資が配られていたことに軽い憤りを覚えました。冷静に考えればそれはその人の「備えの良さがもたらした恩恵」であり私のひがみ以外の何物でもないのですが、当時は極限状態に近かったためそのような感情を持ってしまったのです。今になって振り返ると「備えあれば憂いなし」という言葉を実践されていた人たちはまさに尊敬に値するし、それを怠っていた自分自身が情けなくもあります。

避難所では防災グッズや備蓄品の有無が生活を大きく左右します。私も被災してつらい体験をしてからは常に災害用備蓄品を準備しておくように心がけています。

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