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停電時に威力を発揮するポータブル電源

停電時にスマートフォンへの充電やUSBライトでの明りとり等にモバイルバッテリーが大変役に立つことは既に当サイトのTips【これからの備蓄は「乾電池」より「モバイルバッテリー」】や【百均でも購入できるUSB給電LEDライトがおすすめの理由】でも述べておりますが、停電時にさらに威力を発揮するアイテムとしてポータブル電源をご紹介したいと思います。

ポータブル電源とは

ポータブル電源とはモバイルバッテリーを大型化、高容量化したものと考えて間違いはないのですが、実はモバイルバッテリーとは明らかに違うポイントがあります。
その一番大きな違いは100VのAC電源を出力できること、すなわち日常的に利用している家庭用電化製品を(もちろん消費電力の制限はありますが)そのまま利用できるということです。
その他にも一般的なポータブル電源が持っている特長として、DCの入出力が可能なので車のシガーソケットからの充電もできるし車載用電化製品も利用もできる、さらに大型のソーラーパネルからの充電も可能となるなど、実にいろいろな使い方ができるわけで、キャンプや車中泊などの日常利用だけでなく災害時には大変威力を発揮してくれるアイテムなのです。
では、ポータブル電源が災害時にどのように役立つかを詳しく述べてまいりましょう。


ポータブル電源

ガス給湯器を使って風呂にも入れるし、ガスファンヒーターで暖房もできる

これは日常的にガスを利用している家庭だけに言えることですが、ガスや水道が無事でさえあればポータブル電源から電気を供給して給湯器でお湯をわかして停電時にも風呂に入る事ができるし、ガスファンヒーターを使って暖房もできます。もちろん、ガス炊飯器やガス衣類乾燥機などその他のガス器具をお使いであればそれも利用できるわけです。

「でも、それはガスや水道が利用できる場合であって、地震などですべてのインフラがストップしたらどうしようもないのでは」と言われるかもしれませんが、実は停電の多くは地震以外の原因である台風や落雷、大雨あるいは送電系の故障などによるものなのです。
例えば、2020年房総半島台風では送電塔2本と電柱84本が倒壊して約100万戸が停電し1週間後にも約6万戸が未復旧のままでした。平成2018年の台風24号では沖縄から関東までの広い範囲に渡って約200万戸が停電し長いところでは復旧までに約1週間を要しました。2015年の長野県で起こった約38万戸の停電は送電線の故障が原因でしたし、東日本大震災後はガスや水道などに被害がなかった地域にまで広く長く計画停電の影響がでました。

つまり、ガスや水道は無事なのに電気だけが使えないという災害では特に、AC100V出力ができるポータブル電源は大活躍できるのです。
しかし、本当にポータブル電源でガス風呂が沸くのでしょうか。
ということで実際にポータブル電源を使って24号タイプのガスふろ給湯器でお風呂を沸かして見ました。

ポータブル電源で風呂を沸かす

この機種は定格消費電力が180W(60HZ)のものでしたので、200W以上のAC連続出力ができる電源なら可能なはずです。結果はもちろん寒い冬でしたが10分程度でお風呂が湧き上がりました。当たり前ですね、お湯を沸かすのは主にガスの仕事で電気はポンプを動かしたり信号系をまかなったりするだけですから。
同じように定格消費電力27Wのガスファンヒーターも問題なく温かい風を送ってくれました。
ちなみにガス衣類乾燥機は260W、ガス炊飯器は285WでしたからAC連続出力300W以上のポータブル電源であれば動作するはずです。

ガスを使わない暖房なら電気毛布やホットカーペットがおすすめ

では、ガスによる暖房を使っていない家庭ではどうでしょう。エアコンは後述するように定格消費電力が高いのでポータブル電源での利用には不向きです。
一番オススメなのは電気毛布とホットカーペットです。
電気毛布の定格消費電力は30W程度ですから、暖房器具としてはかなり低いほうです。その分暖かさも弱いわけです。ホットカーペットは強度を中にすると200W程度、弱にすると120W 程度、こたつもホットカーペットと同じ程度ですから、これらの低消費電力暖房機をうまく使えばなんとかポータブル電源でも冬の寒さに対応できるのではないでしょうか。

ポータブル電源で電気毛布

夏は扇風機や電子蚊取りの電源として大活躍

冬の停電も困りますが、最近とみに温暖化してきて灼熱列島ともいわれるようになった日本ですから夏期の停電はこたえますね。というのは夏の冷房をほとんどエアコンに任せるようになっているからで停電時にはこれが完全にストップするわけです。
もちろんエアコンも電気で動くので大容量のポータブル電源であれば動かす事はできますが、エアコンの始動時には定格消費電力の2.5倍ほどのパワーを必要とすると言われていますから、例えば6畳用エアコン(定格消費電力440W)であれば最大で1100Wの出力が可能となるポータブル電源を選ばなければなりません。現在入手しやすい価格帯(10万円以下)のポータブル電源は連続出力100W~400W程度が主流ですし、たとえ起動できたとしても何時間も動かすというのは無理があります。
そこで、冷房手段としてまだまだ現役の扇風機に登場願うことになりますが、扇風機の定格消費電力は30W程度ですからこれならポータブル電源でも充分利用できることになります。
もう一つ、夏には欠かせない電気蚊取りですが、これは4W 程度ですから楽勝ですね。
夏の停電は扇風機と電気蚊取りとポータブル電源でなんとか乗り切ることにしましょう。

ポータブル電源で扇風機

電話、インターネット、パソコンなどの通信環境を維持できる

停電時でもスマートフォンによるモバイルネットワークを介してインターネットにも接続できるし電話もできるかもしれませんが、AC100Vが利用できるなら現在普通に使っているルーターや無線LAN、ノートパソコン、一般電話回線なども日常と変わらない程度の使い方ができると思います。
Wi-Fiが使えればスマートフォンのデータ通信量を気にする必要もないしSIM無しタブレット等も利用できますから停電時の不便さもかなり解消できるはずです。

ポータブル電源で通信機器を使う
ちなみに各機器の大体の消費電力は以下のとおりです。
  無線LANルーター 15W
  電話機 3W
  ノートパソコン 30W

その他、ポータブル電源で使えそうな家電製品

その他にもポータブル電源が活躍しそうなシチュエーションがいくつかあります。
自動車の活用について】でも述べていますが、一時的な避難場所として車を利用するような場合は、エンジンをかけなくても車載用電化製品をこれで駆動できます。
例えば車載用の小型冷温庫などは定格消費電力40Wぐらいですし、プラズマクラスターイオン発生器は2W、車載用湯沸かし器では120Wのものもあります。

被災後にあまり車を使わないことでバッテリーが弱った時に活躍するバッテリー充電器は150W程度のものが多いのでここでも出番は有るし、ポータブル電源の中にはバッテリー上がりにも使えるジャンプスターター機能がついた製品もあります。

また、避難所などの冷たい床に敷いて断熱性を高めるエアーマットは大変人気のある防災グッズですが、その際に活躍する電動空気入れは定格消費電力150W程度ですから、ここでもポータブル電源は役に立ちますね。

ちなみに一般家庭でよく使われている液晶テレビは50インチクラスで160W、26インチクラスで60W程度です。

ポータブル電源選びで重視したいポイント

さて、停電時にこんなに活躍してくれるポータブル電源ですが、どのような点に注目して選べばよいのでしょうか。実は他の電化製品と同じくポータブル電源は圧倒的に中国製がメインです。鍵となる電池そのもののシェアが圧倒的ですから、これは仕方が無いことでしょう。そのせいで、玉石混交とまでは言いませんが、実に多種多様な製品が通販サイトで販売されていますから初めて購入しようとするあ方が迷うのは仕方がありません。
そこで、私は製品選びの際に注目したいポイントを4つあげてみたいと思います。

1;実売5万円以下の普及価格帯
放電容量が大きくて多機能な製品は価格が高くなるのは当たり前ですが、容量が大きなものほどサイズも重さも大きくなります。つまり、ポータブル性が悪くなるわけです。
また、このパッテリー分野は技術革新が激しく数年ごとに容量、大きさ、重さ、価格などがより好ましい方向に変化してきています。何年も使うものだからと頑張って高額商品を手に入れても数年後には同等機能のものが格安で販売されるようになるかもしれません。初めてポータブル電源を購入されるような場合は5万円以下の普及価格帯の製品で様子を見られてからステップアップを考えた方が良いように思います。

2;総電力量は300Wh以上のものを
蓄電容量については、どの製品も「大容量60,000mAh、222Wh」などの表示がされていることと思います。
このmAhは一時間あたりでどれだけの電流を発生できるかという放電容量を、Whは一時間あたりの電力量を表します。まあ、放電容量に電池の電圧をかけてやれば電力量になるわけで、ほとんどは3.7V電池を使っているので放電容量に3.7をかけると電力量になるわけです。放電容量の記載はモバイルバッテリー等との比較に便利だから使っているのでしょうが、そのバッテリーがどれほどの容量を持っているかを知る上で便利なのはやはり総電力量だと思います。

電力量=電力(電圧×電流)×時間 ですから
100Wの電球を一時間点灯させるには100Whの電力量が必要ということになります。
先の例であげた222Whのバッテーは100Wの電球を2.22時間点灯させる容量を持っていることになり、60Wの27インチ液晶テレビなら3.7時間視聴する事ができるわけです。
このように、どれだけの消費電力の器具を何時間稼働させることができるかを直感的に理解できるので、ポータブル電源の容量を見るときは総電力量Whを参考に選ぶべきだとおもいます。
先ほども述べたように、容量の大きなものは重くなるし価格も高い、しかし最低限必要な容量は確保したいわけですから、これは実際の使い方を想定する以外ありません。そこで私は、冬ならばガスファンヒーターを、夏ならば扇風機を10時間程度使うことができる容量を基準にすることにしました。どちらも定格消費電力は30W 程度ですから総電力量で言えば300Whということになります。

3;連続定格出力200W以上
先に蓄電容量についてお話しましたが、例えば「電池容量300Wh」と表示された製品を購入すれば100Wの器具を3時間、300Wの器具なら1時間使用できるかというとそうではありません。各ポータブル電源には連続定格出力の上限が決まっていて「電池容量300Wh、連続AC出力150W 」のものなら定格消費電力が150Wを越える電気器具は使えないことになります。
ということで、ここでも自分の使い方を想定して機種選定をしてやらなければならないことになります。
私の場合は先に上げた「定格消費電力180Wのガス給湯器を使って風呂に入る」事が重要でしたから最低でも200W以上というのは外せない条件でした。

4;ソーラー入力に対応したMC4充電コード付きのもの
蓄電容量がある程度有ったとしても、停電が長引いた場合を考えればポータブル電源への充電が可能である事は重要です。
殆どのポータブル電源は家庭用コンセントからのAC100V入力に加えて車からのDC12V入力、そしてソーラーパネルから入力もサポートしていますが、長期停電を考えるばあいはやはりソーラーパネルからの充電を重視したいところです。
ソーラーパネルの内にも、持ち運びできるような【電気の心配が減るモバイルバッテリー用ソーラーチャージャー】で紹介したようなUSB5V出力できる小型の製品もありますが、ポータブル電源に充電するならばMC4コネクタをもった大型のパネルとの接続を考えておきたいものです。
MC4コネクタはソーラー発電のデファクトスタンダードといえるもので、MC4コネクタ付きコードが付属しているソーラーパネルは選ぶのに苦労しません。
ただ、そのMC4コネクタに接続して充電できるコードを付属しているポータブル電源はそれほど多くは有りません。もちろんそれ用のコードはいろいろ販売されているので別に購入して接続してやれば良い訳ですが、実はソーラーからの入力端子の形状や極性などで選択ミスをして上手く接続できないケースが多くあります。
やはりソーラーパネルからの充電を考えるなら、MC4充電コードが付属している商品を選んだほうが確実です。


ポータブル電源の充電はやっぱりソーラー

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本サイトの災害写真の出展は「消防科学総合センターの災害写真データベース」によるものです



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